石巻神社の鬼祭り
石巻神社の春祭りは、毎年4月の第1日曜日に行われ、地域住民の安寧を守るものとして現在まで受け継がれてきました。通称は「鬼祭り」と呼ばれ親しまれていますが、正式には「石巻神社下宮春季大祭」と言い、かつて行われた秋季大祭を兼ねて行われています。
石巻神社の鬼祭りの起源は不明ですが、石巻神社奉賛会を結成していた郷土史家によれば、鬼の行事は今から820年前の鎌倉時代から伝わり、三河では最古と言う話もあります。しかし、検証する資料は現存せず、現在は推測の域を出ません。古老の話によれば、小さい頃見た鬼の装束は現在と同じ柄のボーダー(横縞柄)であったと言います。
現在の神事は赤鬼と黒鬼、それぞれの小鬼、そして獅子により行われますが、小鬼の登場は終戦直後からだと言われています。赤鬼と黒鬼は拝殿の前縁で所作を披露したのち、境内を走り回り、おもに子どもを捕まえて、たんきり飴と白い粉(小麦粉)を混ぜたもので頭を白くします。この粉を浴びてたんきり飴を食べると厄除けとなり、夏病みしないと伝えられています。一帯が粉まみれになったころ、獅子も現れ、「三三の舞」を披露し、舞が終わると鬼と共に駆け回るのです。
そして、赤鬼は雄神、黒鬼(般若)は雌神と言われており、所作に違いも見られます。拝殿奥から登場する際、両者とも両手両足を大きく円を描くように回すという動作は同じですが、赤鬼は上半身が垂直なのに対して、黒鬼はくの字のように少し傾けながら前に向かってきます。鬼は代々10代後半から30歳までの氏子青年により受け継がれています。終戦後から昭和30年代までは舞い (踊り)の要素がありましたが、時とともに少しずつ変化し、現在ではそれが見受けられないようだとも言われています。